園子せんせいは定時あがり Vol.4


布おむつについて語るときに私の語ること

産院から退院してからこのかたずっと、布おむつを使用している。
保育園から帰宅して落ち着いたら、布おむつを巻く。夜間も続けている。
今や企業努力で紙おむつの性能は抜群に上がっていて、そんな中で布おむつを使用しているというと、巡回に来た助産師や保健師は一様に驚いて、「この地域で3人目くらいです」などと変人扱いされたりする。同僚や先輩ママたちは「エライ」と褒めてくれたり、「私にはむりだった」と遠い目をされたりもする。こればっかりは上の子が居たりすると多忙さに拍車がかかるし、母親の体調やライフスタイルもあるので、合う合わないなんだろうなと思う。
でも私は布おむつなしの育児がもう考えられなくて、布おむつは自分に合っていたし端的に言って好きなんだと思う。

産休に入って一番始めに準備したのは布おむつを縫うことである。エリス追体験である(森鴎外『舞姫』ね)。サラシを一反買って、一定の幅に切り輪っかにして縫い合わせる。ミシンがないので手縫いである。百均で買った針と糸での手縫いは強度が弱く、2年経った今ではもうほつれまくりでビラビラである。どうせたたむので気にしない。

新生児のときは一日に10回以上おむつを替える。ちょろりと濡れたものを、片っ端から水を張ったバケツに突っ込む。うんちはトイレの中でゆすって落とす。育児をしていると、汚いという概念は大幅に縮小、かつ更新されていく。その後、他の洗濯物と一緒に洗濯機で回し洗う。

布おむつは濡れたら赤ちゃんでもすぐに分かる。不快さを覚えてくれると、泣いて知らせてくれるから、すぐに新しいものと取り替える。赤ちゃんには、「このひとは不快さを取り除いてくれるひと」という認識が備わるらしい。意識に上るまえから親子の信頼感を育むことができる、と布おむつ指南書にあった。どうかしら?
連日連夜のおむつ替えはまぁまぁきついけれども、濡れたお尻の不快さは、大人でも想像できるじゃないですか。たまにハッと起きるとおむつが冷たくなってることもある。ひどいときは布団まで濡れていたりする。そんな時は、ごめんごめんと言って替えながら、近くにある別の乾いた布おむつを布団に敷いて、そのまままた寝てしまう。あー布おむつで良かったと思いながら。

布おむつ育児だと赤ちゃんが感性豊かな子になる、という都市伝説もある。ほんとかな。
一つ考えられるのは、新生児の時からおむつ替えのたびに声をかけていたことである。まだ感情も読み取れない赤ちゃん時代、「おむつ替えようねー」「濡れて気持ち悪かったねー」「はい、もう大丈夫。気持ちよいねー」という私の声かけが有効だったかどうかは分からないが、うちの子はかなり早いうちから言葉を覚え、感覚も鋭く、あらゆる気づきも早い。
育児しているひとの数%しかやっていないだろう布おむつのことを、これ以上読むひとがいるのか不明だが、もう少し申し述べる。おむつなし育児のことだ。
「布おむつ」をググると、たぶん高確率で一緒に出てくるのが「おむつなし育児」だ。これは布おむつよりさらにレベルが高く、「赤ちゃんのタイミングでトイレに連れて行き、排泄させる」というもの。1年の育児休暇を頂いていたので、私も試してみようとワクワク挑戦した。
まずは、ベッドの上でおむつをすべてはずし、解放された感覚を味わわせる。気持ちいいじゃないですかフ○チンて、大人でも。たまにそのままおしっこするのだけど、それで大正解。その開放感を覚えさせたら、今度はトイレに抱っこして行く。
赤ちゃんをお世話したことのある人は分かると思いますが、ヒトは最初からそんなに簡単に決められた場所で排泄をしない。でもおむつは、いつかははずさなければならないときが来る。家族は「ここがトイレだ」「おまるだ」とおしっこさせようとするけれど、それを覚えるのに幼児期の前半は費やされる。来年から小学生、という子が、いまだに排泄の感覚が得られなくて、おもらししてもきょとんとしていることも聞く。トイレの作法って、今はどなたも無意識にしてると思うけれど、これだって生育過程で学んだのだなと思うと、職業柄、感動を覚えてしまう。
最初はトイレに赤ちゃんを支えながら座らせ、しーしーと声をかけてもなーんも反応なく数分が経過して、そそくさとおむつをする、というのが続いた。まぁそうよね、とあんまり気にせず続ける。そのうち、ミルクを飲んだのにおむつが濡れてないなーという時を狙って、おむつをはずして座らせるようにしてみた。
うちの子が初めてトイレでおしっこしたのは、生後3ヶ月。ついでに、その日初めてうんちもした。これは言葉にできないほどの感動だった。本人は何が起きたのか分からない顔をしていたが、私がびっくりした声をあげたら、ケラケラと笑った。濡れて冷たいおむつの上ではなくて、じょろじょろと音を立ててトイレに流れた自分のおしっこ。さぞ気持ち良かっただろう!
2歳2ヶ月の現在、保育園の先生方のご尽力もあり、日中はパンツでおしっこやうんちは事前に知らせてくれるようになった。おまるで勢いよくシャーっと排泄しては得意そうな顔をしている。夜間のパンツはまだ厳しいものの、もう少しで紙おむつ代(保育園で使用)と布おむつの洗濯から解放されるかな・・・と期待している。
私は布おむつの干されたベランダの写真を、アイコンにしている。私の育児の象徴的な画だ。

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