人生七転び八起き Vol.13


★コラム13 パーラー店員

突然の解雇から3日後。大学時代の友人イチローが「ウチで働かないか?」と声を掛けてくれました。神は私を見捨てはしませんでした。

仕事は魚市場内のパーラーで食べ物を販売し、売上の半分が給料になるという条件でした。

私の本意には沿わないものの、「大のオトナが昼間からブラブラするのはみっともない。ましてや、小学1年生の息子にそんな姿は見せたくない。パーラーで働きながら、条件のいい仕事を探そう」。そう考えて、彼の申し出を受けることにしました。
さぁ、私の人生、再出発です。

市場の朝はとにかく早い。5時30分開始のセリに向けて、市場で働くみなさんは準備を始めます。私はその方々に食べ物を販売しました。

1日の流れはこんな感じです。深夜2時半に起床して家を出ます。市場に向かう途中でパン屋、沖縄そば屋に立ち寄り、食べ物を仕入れます。店に着くと、すぐにご飯を炊き、おにぎりを作ります。仕入れたカレーのルーはご飯ジャーに移して、そば出汁を合わせてから保温します。それから、近所の魚屋さんにマグロ丼用の刺身を注文します。これで準備は終了です。

そうこうしている内にお客さんがやって来て、商品を買っていきます。

昼の12時頃には周りのお店は片付けを始めますので、それに伴って、パーラーも販売を終了します。使った道具を洗ったりして、片付けを始めます。

仕事を終えて帰宅すると、その日の売り上げを計算します。ある日、いつもよりも売上が5千円ほど少ないことがありました。もしかすると、5千円と1万円札を間違って、お釣りを渡したのかもしれません。急いで店に戻って探しましたが、見つかりませんでした。痛い出費になりましたが、自分のミスなので仕方ありません。二度と間違わないように気を付けようと心に決めました。

それから、翌日の準備をします。パンやそば、カレーの個数を注文します。前日の夜にカレーの具材をゆがいたり、沖縄そばに入れるネギを切ったりしました。そうすると、出勤前に慌てなくなりました。

接客に関しても素人だったので、元気よく「いらっしゃいませ」と言おうとすると、不慣れなせいかセリフを噛んでしまいました。こんな簡単なことすらできない私って、ダメなヤツですね。

沖縄そばやカレーは1杯150円と安価なので、利益は少なく、1日の売上は平日で約4千円でした。土曜日は一般のお客さんも来るので約1万円でした。最初はワクワクしながら働いていましたが、1日の売上金を目にして、「8時間働いても、これだけかぁ…」と悲しくなりました。一家の大黒柱がやる仕事ではありませんでした。これじゃあ、家族は養っていけません。

仕事の合間にお隣のセリ会場に行き、並んでいる魚を見るのが一番の楽しみでした。特にカジキの大きさには驚きました。カジキの尖った口先(吻フン)は切り落とされていたので、少し残念な姿になっていました。他にはナポレオンフィッシュや赤マンボウ、エチオピアといった珍しい魚を見ることができました。

日曜日は定休日でしたので、体を休めたり、家族サービスをしました。

私は次の仕事が決まるまで、3週間働きました。
お客さんから、「カレーの肉が冷凍で、喫茶店の味がする」「前日のコーヒーは使わないように」「刺身が古い」などとクレームを受けました。こういったクレームに対応することは可能ですが、それをやってしまうと、当然出費が増えます。「客を取るのか、儲けを取るのか」この問題をずっと抱えたまま働きました。飲食店の経営はホント難しいですね。

売上は日によって変わりました。売れ残りが多い日に商品を持ち帰ると家族は喜んでくれましたが、これは自腹で買い取ったものなので、儲けになりません。

「ウチで作って、店で売ってみない?」と妻が言い出し、試しにサンドイッチやおにぎり、カップラーメン、ゆで卵を販売してみました。おにぎりの売れ筋を調べるために、中に入れる具材をシャケやそぼろなど、色々と変えてみましたが、楽しかったです。

アルバイトを終えての感想に「接客・販売の経験を人生に活かしていこう。辛くてもきつくてもスマイル。元気よく活気に満ちた姿勢が大切」と書いてありました。

仕事がお昼に終わるので、あとの時間は就職活動に当てることができました。色んな企業に応募しましたが、書類選考で落ち続けました。ですので、その先にある面接を大切にしなければなりませんでした。

そうこうしている内に、やっと次の仕事が決まりました。約3週間の短い期間でしたが、以前から興味のあった飲食業を体験することができて、よかったです。

そして、お給料です。利益の半額が約4万円。これを時給に換算したところ、驚きの数字が弾き出されました。何と「時給242円」。ショックのあまり、言葉が出ませんでした。だ、騙された(涙)

次回は人材派遣会社の面接官のお話です。

■筆者information

沖縄素潜り人 「 One Breath 」
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