ある詩人の場合 第12回


詩人と湯船2

まだ湯船の話は続く。
そのうちほぼ毎日、湯船に浸からなくては気が済まなくなってきた。
水道代とガス代を恐れながらも。
そう、私は湯船ホリック。

今度は質を高めたくなってきた。
入浴剤が欲しくなったのだ。
「ああ、今誕生日が近くて誰かに何が欲しい?って聞かれたら入浴剤だと答えるな」
そもそも誕生日は9月なので、3月の今はまだ遠い。
これまで入浴剤なんて、人様からもらった時にしか使わなかった。
いや、もらっても使うタイミングを逃してばかりいたのだ。

翌日、私はドラッグストアの入浴剤コーナーにいた。
今まで入浴剤に興味を持ったことなんてなかったため、入浴剤コーナーで立ち止まったのは初めてのことだった。
こんな品揃えでこれくらいの値段なのか。
肩こりや疲労を解消してくれるなんてありがたい。
まさか自分が入浴剤を買う日が来るなんて。
震える心を抑え、いちばんラグジュアリー感がある香りの入浴剤を買った。

帰宅し湯船にお湯をためる。
入浴剤を投入する。
色がついたお湯!!
しげしげと眺める。
入浴剤を入れると、心なしかお湯が冷めにくい気がする。

父ははるか昔、ポケットラジオをビニール袋に入れて、浴室でラジオを流しながら入浴していた。
あれも入浴時の質を高める工夫のひとつかもしれない。
私はあえて、ラジオや携帯や時計のない時間を楽しんでいる。

ガス代は月を追うごとに上がっていく。
水道料金が引き落とせなかったとのことで、納付書が送られてきて慌ててコンビニに駆け込んだ。

春が近づいてきている。
私の湯船ホリックはいつまで続くだろうか。
まだまだしばらく楽しんでいくはずだ。

■筆者information
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