MOVIE SPECIAL

映画・ミラクルシティコザ
スペシャルインタビュー Part.2

Be-STUDiO
岸本尚泰・山田行

映画「ミラクルシティコザ」ロングラン上映中

スターシアターズで1月21日(金)から沖縄先行公開され、桐谷健太さん主演でまだまだ話題の映画「ミラクルシティコザ」。
伝説のロックンローラーを祖父に持つ「翔太」は1970年の沖縄へタイムスリップ。その時代ならでは毎日を生きることとなる。沖縄の生きる伝説・バンド「紫」の全面協力により、その代表曲が作品を彩る。
『未完成映画予告編大賞』でグランプリを受賞、大掛かりな撮影や映画のスペシャリストが加わり本編制作が始まっても、中心は沖縄で活躍する人たちだった。平一紘監督がこだわった沖縄産の魂、沖縄発の思い、沖縄から全国へ彼らだから描けたものは何か。それを探るべく3者へインタビューを決行。

スペシャルインタビューPart.2は、主人公「翔太」と現代で生きる友人「ヨシキ」を演じる山田行さん、過去の世界でインパクトを我がものにするべく立ちふさがるヤクザ「火元」を演じる岸本尚泰さん。
全く違うキャラクターの2人、実は『Be-STUDiO』として今年11周年を迎えるユニットメンバーなのだ。ここでは2人と出会いと、今回の撮影を含め作品へ向かう気持ちや、11周年の予定などを聞いた。

2人で良かった。そこに辿り着くまでの2人の軌跡

●まずはお2人それぞれの自己紹介をいただけますか?
山田行(山)/主に脚本、演出、時々は出演という山田です。
岸本尚泰(岸)/初期の頃は衣装や打合せの制作系も全部やってたし脚本や演出、MCもする、役者というのは他の人が使ってるし俺は違う感じでいこうかな、パフォーマーに近いのかな。

●お2人とも幼い頃から演劇が好きで、この世界にいらっしゃるんですか?
山/俺は一人っ子なので1人遊びが主で、絵を書いてたらそれが漫画になり、でも絵を書くのが面倒になって小説になり、でも状況描写を描くのが面倒になって詩を作りと、創作活動をはずっとしてきて『なりたい』というより『好き』でした。そうしていると知り合いから演劇の脚本を書きませんかと誘ってもらい、この世界に入った感じです。
岸/小・中・高・大学ずっと野球ばかりしてスポーツ選手になりたかったです。父親が1人で映画館に行くほど映画好きで、クリスマスや正月のイベント時、たまに連れて行ってもらえたり、近所に那覇で上映された作品が遅れて入ってくるような小さな映画館があって、最新作だったバットマンなどは1人で観に行ったり、映画を見る機会は小さい頃からありました。野球でプロになりたかったけどなれず、就職もどうしようって時に、映画に関わる仕事をしたいと思い、ラジオである劇団スタッフの募集を聞いて受けたら「ちょっと役者オーディションも受けてみない?」って事になり今にいたります。

●お2人それぞれの「最初の演劇」はどんなものですか?
岸/日本兵の役でした。まず上手・下手も知らず演劇用語が分からないところからで、「気持ちで喋って」と言われてもピンとこず演出家に猛特訓されました。レンタルビデオ店で戦争物を借りまくって見て、誰かを参考にしたと言うより全部ごちゃまぜにして、「違う」と言われる度に別なのを出して、役作りしたというか出し切った感じで、終わってみたらそれが楽しかったんです。
山/俺の場合は23歳の時、知り合いから高校演劇の脚本オファーを受けたんですが、脚本の書き方が分からず教科書に載っていた有名な戯曲を参考に書きました。頭の中で想像したものが立体として存在する感動は、これが1人で作るとみんなで作るの違いなんだ!と喜びがすごくありました。高校演劇だったんですが、高校演劇定番の清く正しくなイメージを自分は作りたくなくて、今でこそ高校生は色々切り込んだものや性の描写もあるんですけど、当時はかなり『やってやるぜ!これでお客さんをぶん殴ってやるぜ』って気持ちを込めた印象があります。

●そんな始まったばかりだった2人の、周囲の反応はどうでしたか?
山/最初に脚本を書いた舞台を客席で見た時に、幕が締まった瞬間、隣りに座っていた女子高生が「めっちゃ格好良い」って呟いて、その感動は今も覚えてますし色々思う事がありましたね。
岸/俺の場合は友達とか親族に、特に芝居関係や俳優・タレントがいるわけではない環境から、突然に俺が演劇をやり始めたから「良かったね」と口では言うけど、それがめちゃくちゃムカついて。大人学芸会の延長、趣味でやっている感覚で見られて「楽しんでいて良かったね」って上から見られていることに「今に見てろよ」と思いました。まだ劇団や役者をしている人がそんなに多く無い時代でしたし、趣味感覚で取られた感じが悔しかったです。

●そんな「本気」で奮闘する毎日で、お2人はどの様に出会うんでしょうか?
岸/これってお互いにエピソードが違ってたら面白いね。
山/あえて聞かずに思うままに言ってみようか(笑)。
岸/俺の記憶では、俺がある劇団で8年くらいやった頃、公演の受付に「なんだか変な雰囲気の方が来ている」と言われて、彼(山田)でかいじゃないですか?しかも当時ニット帽にダルダルのジーパンで小汚い感じの風貌、「脚本で一緒にやりたいらしいです」って女の子たちが怖がりながら言うから、楽屋に来てもらったのが最初かな?
山/あれ?違う!(笑)俺はその見に行った公演で劇団のDVDがロビーで流れていて、このDVDが欲しいけど販売していますか?って聞いたんです。非売品ってことでその場は諦めたんだけど、別公演の受付をしていた時に偶然に岸本が見に来て、名乗る前に「岸本さんですね」って言ったんです。「なんで分かるの?」って話になり「もしかしてDVD欲しいって言った人?」って言う話ができたんです。それでDVDをもらう約束で連絡先交換して、取りに行った時に脚本書いてますと話たら、いつか一緒に何かやりましょう!って意気投合したと…思ってました!
岸/歳を取るって怖いね!(笑)当時から山田は尖った作品が多くて、俺がやっていた劇団はコメディー中心だったので、劇団の色には合わないねって話にはなったんです。

山田行さん

●そんな「合わない」印象から、一緒にやるに至ったということは、お互いに何かを見出したということですよね?そのお互いの魅力はどんなところだったんでしょうか?
山/役者力です。パって出てきてとにかく目を惹く、身体がガッチリして声が響く。役者はやはり見た目と声で持っていくものなので、良い役者さんだなって思いました。
岸/ありがとうね(笑)。俺の場合は、当時の劇団でそんな毎週舞台をやっているわけでなく、東京を目指せ追い越せみたいな気持ちで、芸人さんとかもゲストで呼んだりして『新喜劇になりたいのか?』と言われている時期でした。役者って客演で呼ばれた時に、自分のいる劇団の色が出せたら良いとも思うんですが、同じ場所だけでやっているとそこで得たものしか出せないと思い、山田の書く脚本のように狂気に触れる部分があってもいいんじゃないか、それを芸人や色んなジャンルの人が好きに演じるのも面白いぞと思ったんです。山田の脚本には男女間の気持ちや死生観だったり、当時の沖縄にはあまりないドロドロしたものがあって惹かれました。

岸本尚泰さん

●しかしBe-STUDiOは、どうしてな2人なんですか?劇団は人数が多いイメージです。
岸/やっぱり、仕事をしながら空き時間で芝居を趣味でする人と、好きで芝居中心でやっていきたいけど生活のために働きもする人、あの2人は別れたから◯◯さんは辞めるとか…。なんじゃ!って思って「もう俺はプロと思ってやっていきます、付いてきたい人はきてください」と宣言して山田に声かけたんです。そしたら誰もこなかったから2人になりました。でも2人でいいんです(笑)。

●同じモチベーション、同じベクトルでやっていく人ってなった時に2人だったってことですね。
岸/沖縄にはない『面白いこと』をやろうっていう中で、そこにいたのは山田だったんです。
山/人が多くなるとそれだけ意見も多くなり、結局やりたかったのは脚本を書くことだったので、周りから色々言われるよりは人数少なくていい、脚本を書き続けていける土俵があればいいと思ってました。当時はちょっと過激でスタンダードから外れたやつは叩かれる時代、実際にデビューでかなり題材は叩かれたので、でも自分の書きたいものをかけたのがここでした。2010年10月に作ろうと話して、本格的に動き出したのが2011年。
岸/初期からラジオDJやモデルを呼んだり、異業種と組んで演劇の世界では異色だったと思います。
山/舞台は役者を集めてやるのが当たり前でしたからね。
岸/本当にみんな面白いのに燻っている人が多くて、俺たちの舞台に出た直後に売れていった人が多いです。大きなメディアの仕事を始めたり、ラジオで帯番組が決まったり、みんなどんどん有名になる登竜門みたいになって、良いなぁ、俺達は?って思っていました(笑)。
山/でもずっと持っていたのは『面白いことをやっているね』って思われたい気持ち。アングラな舞台をやっていたのに今回はコメディなの?とか、エンタメの鉄則として次は何が来るか分からないものを目指しています。振り幅は広く持っておきたいと常々思っています。
岸/それが出来ているかどうかは見る人の判断ですけど、とにかく楽しんでもらえたらいいなと思っています。

これまでの積み重ねが今回の配役に。「平組」の真骨頂

(C)2021 Office Crescendo

●映画「ミラクルシティコザ」で登場するお2人は、なんとなく真逆の立ち位置にいるように感じました。出演シーンも現代と過去であり、お2人の役柄も解りやすく味方(山田)と敵(岸本)という印象を持ちました。その配役の意図はあったんでしょうか?
山/これは監督じゃないから真意は不明ですが。
岸/たぶん積み重ねだと思います。平監督とは自主制作の頃からの付き合いで、大きな作品を撮る時のために沖縄の色々な題材を手がける中で「岸本はこう見せたい」「山田はこう見せたい」ってあったのかもしれないと感じます。俺の演じたヤクザの親玉「火元」は自主制作ですでにあった役で、俺が演じていました。山田の場合も「テラカ」っていう映画を撮った時に、あの役の印象を持ったのかなと思っています。よく映画や演劇の世界で◯◯組と言われる、この演出家の作品にはこの人という感じで、平監督はイメージしたのかなと俺は思っています。自主制作から一緒に積み上げた物があったからこそ、今回も使ってもらえたのかもなぁと。
山/ほんと!本当にそうなんですよ。
岸/だって本土の制作陣が来て、桐谷さんが主演で、俺らの名前言っても誰もわからないと思うのに。その中に強引にでも使ってもらってるのはありがたいことです。

●今回「この役をお願い」と言われた時は、どんな思いでしたか?
山/自分は毎回そうなんですけど「自分でいいのかな?」と思います。役者としてあまり修行しなかった身なので、声かけてもらえるのは嬉しいんですが。少しでも求められることを自分なりに最大限に出そうといつも思います。
岸/最初の頃は「俺は脚本家だから役者は絶対やらない」と、役者はクソ人間がやるものだって言ってたものね?
山/いやいや誤解!言い方には誤解がありますが、役者がやれる人は頭おかしいって表現はしていましたね。スゴイって意味で。自分が脚本家として役者に求めるものが結構メチャクチャだったみたいで、「お前は1度、役者の気持ちを知った方がいい」と言われて演者をしたのが始まりなので。
岸/配役された時「どうしよう、こんな役をもらってしまった」と言う人もいます。俺は「火元」役をもらった時に限らず、いつも自分に出来ることを思いきりやるだけと思って、堂々と現場に入ります。現場ではどんな気持ちも出ると思うんです。元が上下関係のある体育会系で育ったので、最初から気持ちが下手になるその雰囲気を引きずってしまうと思うんです。オンオフをキッチリ!プレッシャーはなくって「自分だったらどうするだろう」「このキャラクターならどう言うんだろう」と、それだけを考えています。ほとんどの人が初対面からスタートの世界、出たとこ勝負なので、カメラテストの時から自分がこうしたいという意思を思い切り出していきましたね。

(C)2021 Office Crescendo

●実際に演じていく中で、ご自身の役に対して思うことはありましたか?
岸/監督と話しながら作っていくので、俺がこうしたいという部分も監督が「これは違う」というと違うんです。こうしてと言われてこれでいい?と常に確認しながら、その時々で変わっていく約作りでした。台本通りは6割くらいで、後は突然でした(笑)。「はい!車に乗ってください!ハンバーガー食べてください!雨降りそう!早くこれはやりましょう!」と…。ハンバーガーを食べながら車で近づくシーンはほぼ全部が突然で、数百メートル先に雨雲も迫っているから最初から全部全力で行け!という感じ。最終的に思いつきで食べているハンバーガーを投げつけたんですけど、結果的にカットされていました(笑)。
山/俺も台本をもらって自分なりに役作って現場で提示しては見たんですが、監督一言でセリフもイメージもどんどん変わっていきました。1人1人綿密に打ち合わせる時間はないタイトなスケジュールの中で、どんどん広がったり変わる役のイメージを自分なり繋げて色々やってみたんですが、結構カットされていましたね。やっぱりアレは違ってたんだって完成してからも発見です(笑)。
岸/実際にハンバーガーは10個位食べては投げて…。たくさんあったのに残ってなかったです(笑)。

●今回の撮影ではよく、その食べ物に関する現場の話が聞かれましたね!
山/そう、ケータリングがいつも、沢山あったんですよ。関係者や地域の方の応援です!
岸/お弁当は常にあって、どれも美味しくて、ちゃんと一つ一つに「ミラクルシティコザ様」などメッセージも書かれていて、地元の人に応援されているなと言うのを、毎回お弁当からも感じていました。こっちの弁当屋さん(ミュージックタウン内)とか、パークアベニュー近郊や本当に色々ありました。

(C)2021 Office Crescendo

●そんな撮影には個性豊かな顔ぶれが参加されていましたが、印象に残っている共演者はいますか?
山/僕はアカバナー青年会さんです。初対面でしたが得体の知れない人だなと思ったんですよ。この人、芸人さんって言うけど本当にそこらへん歩いてるオジサンじゃん!って感じていて。実際に演技をすると「あ!そこらへんにいるオジサンじゃん!」って思ってしまって…、それをカメラが回っている中で出せる、本当にそこに生きているオジサンになっているって、すごいことだなと思ったんです。偉ぶることもなく気さくで仲良くしていただき、クランクアップ時にお互い目の前にいると言うことで抱きしめあったことが思い出に残っています。本当に良い存在感、目を惹く人だと思いました。
岸/あの人20代の頃は東京でホストしてたんだってよ!
山/えー!うっそだー!!(笑)
岸/すごいモテたらしいよ(笑)。

●今回の取材で偶然先にお話を聞いたんですが、どの芝居でも「演技せずそのままアカバナー青年会さんでいてください」と言われるそうで、それを求められるのは才能ですってお伝えしたんです。唯一無二な存在感ですよね!
岸/本当に良いい意味で「変なオジサン」ですよね。
山/リアル「平良(ミラクルシティコザでの役)」じゃん(笑)。
岸/俺は乱暴的なシーンしかなくて、多くの人に関わってはいないんですね、大城優紀さんも元から知っていたし。常に監督と打ち合わせながらああだこうだと役作りする場面が多くて、他の出演者と過ごすことが無かったんです。桐谷さんとも少し動きを確認するくらい。でも役柄的に仲良くなりすぎないからこそ映画としては良い雰囲気を作れた感覚もありました。役柄的にカメラの前以外でも1人の時間が多い撮影でした。

(C)2021 Office Crescendo

●確かに岸本さんの「火元」は、なんというか…、出てくると嫌な役でした(笑)。
岸/そう思ってもらえるなら良かったと思います。役柄としては脅迫状が来てもウェルカムなはずなので。ベンビーさんもなぜかあちらが歳上なのに、現場で俺にずっと敬語で話してきて「ベンビーさんが年上ですから」と言っても、役柄のイメージが強かったのかもって思いました(笑)。でも唯一、楽屋として使われていたホテルの大浴場での出会いはありました!俺は夜のシーンが多くて、頭もガチガチに固めるし映像でテカリを出すために顔にベッタリ油を塗られていたんです。撮影後はスタッフさんが片付けされている隙を見て、サッと風呂場にそれを流しに行っていたんですが、ある日すっぽんぽんの桐谷さんが現れて、裸の付き合いをさせてもらいました(笑)。

●映画で見たお2人の役は、今こうして目の前で話している素の姿とは全く違っていて演劇ってスゴイなとあらためて思いました。お2人は映画の中で立っているだけなので「こんな人じゃないかな?」を感じさせるものをもっていました。岸本さんなんか本当に「面倒な厄介な兄ちゃんが出てきたな」本物の嫌悪感を抱いてしまう演技でした。
岸/だから絶対バレないんですよ、日常で(笑)。俺は大分や沖縄でも子どもミュージカルに携わっていて、そこにいると付き添いの父兄だと思われるし、どこの現場やドラマ・CMに出ても全くバレなくて。なんなら「私は昔演劇やってたの!分からないことは何でも聞いてね!」みたいなオバサンに色々言われたりするんです(笑)。知り合ったばかりの人が「自分はあのドラマに出てたんです」って、セリフはなかったけどと紹介されたそのドラマに、俺は主人公の親しい役で出てたりするんだけど、全然認知されてなかったり(笑)。

●岸本さんは、映画と舞台の印象が全く違うともよく聞きますね!
岸/舞台ではコメディをやるけど、テレビや映像系では強面の役が多いから、きっとその界隈の人には「岸本さんがコメディ出来るんですか?」って思われているし、舞台関係者には「岸本はシリアスな演技ができすの?」って思われているのも面白いです。
山/確かに岸本、舞台と映像といつも求められているのは間逆な感じはしますね。
岸/俺としては求められたものを、ずっと全力でやっているだけなんです。寺島進さんみたいに強面役は多いですが、最初はコメディ。人を笑わせるって一番難しいと思っていて、芸人さんのように「いるだけで笑わせられる」、佇まいで魅せることは凄いことなんだと思っています。だからこそ「笑える」を追求はしたいと思うんです。あとは見た人が僕の印象を決めてくれると思っています。

普通じゃないことをあえてやる、これまでもこれからも

●お2人別々での活動が多いですが、今年あらためてBe-STUDIO名義で一緒に制作をされるそうですね。
山/今年が11周年なんです、Be-STUDiOの。だから久々に。
岸/10周年は嫌だったんです、俺が。偶数が嫌なだけ、分かれるから。
山/何かやりたいと話は出るけど、有り難いことに2人でやらなくても、それぞれ何かしら仕事を貰えている状況でした。その中であえて2人、流石に2人の最後の公演が2013年だったので。
岸/それもリウボウホール。あそこが無くなるというのをきっかけ。でも今まで2人でやることは無くても、一緒の現場に一緒に関わっていることが多かったです。
山/別の主催に2人ともそれぞれで呼ばれていましたね。舞台でもドラマでも。不仲説があるんですけど不仲じゃないって書いてて(笑)。
岸/2人一緒にいたら「珍しい」「今日はレアですね」って皆さんに言われますね。でもお互いに仕事が来たら「こんな仕事が入った」とか話ますよ。
山/後は道具の貸し借りですかね。

●なんだかピン活動が増えた中堅芸人さんみたいですね(笑)。その今年あらたに考えられているのはどんなことなんでしょうか?
岸/とりあえず彼が書くのでお任せ!
山/やっぱりコメディーかな…と。
岸/それを俺がぶち壊します(笑)。

●周年記念グッズなど作ってみてはどうですか?
山/俺たち意外と…、というかイメージ通りなんですけど華がないんですよ(笑)。むさいなって思うんです。
岸/こういうの、とても面倒くさがりなので誰かに手伝ってもらえたら(笑)。
山/いつも普通じゃないことを「あえてやる」みたいに来たんで、俺達2人。基本はしっかり持ちつつ、脱却して色んな価値観を作っていけたらと思っています。

●そんな2人の野望や目標を教えてください。
岸/死ぬまでこの仕事をしていたい、舞台に出て打ち上げに行って、美味しいお酒を飲んで翌日死んでいるのが良いんだよね。地道にやっていくしか無いけど、舞台に立ち続けられる環境に、ずっと居たいというのが野望です。何歳までにこうなりたいって明確にはないですが、ずっとっていうのは常に信頼も関係も築いていないといけない大切なことですね。そして、いつ死んでも問題がないように普段は家をキレイに掃除して出ます(笑)。子どもたちの舞台やワークショップに関わるときにも、いつも子どもたちに「本番の日は掃除してこい」と言っていますね。昔の大黒摩季さんみたいに「作詞・メディア出演・歌う人と3人いるんじゃないか説」が出るような、舞台ではコメディ、映画では強面、でも脚本演出するのは子どもミュージカル、だけど街中を歩いていても全く気づかれない人のまんま、変幻自在のスタイルで生きていきたいです。だから髪も切らない!その時々どんな役にでも合わせて髪型を作れるように…、今もミラクルシティコザの衣装合わせで切ったきりです(笑)。
山/野望と言うか…、元々は脚本を書きたくてこの世界に入って、色んな物を書く中で色んなしがらみも生まれ窮屈な思いもしたんです。最近ラジオドラマを何にも縛られず自由に書いていて、お金と関係ないコンテンツとして好きな様にしているんですが、自分の信念を信じてやっていい時期なのかもなと思っています。そして最終的に色んな人と知り合いたいです。色んな世界が広がるので演劇じゃない異業種の人とも出会って、こんな人もいるのかと知れたら世界が広がるのかなって思います。その上で好きなことをやって面白いって言ってもらえると嬉しいですね。

●本当に濃密なインタビューでした、ありがとうございます!最後に読者や映画ファンへメッセージをお願いします。
山/沖縄のディープなコザの熱を、映画「ミラクルシティコザ」を見ることで感じると思います。この情熱を胸に刺して…、ちがうなぁ(笑)、もうこの情熱を浴びてください!!
岸/最近は色んな所で地域発信が聞かれるようになりました。この映画も沖縄に限らず、過疎地やシャッター街とかいっぱいある、色んな地域の町おこしのきっかけになればと思います。映画「ミラクルシティコザ」が、そんな活力になる映画にであれば嬉しいなと思っています!

Be-STUDiO
オフィシャルサイト/http://www.elkroi.com/Be-STUDiO/

岸本尚泰(キシモトマサヨシ)

2001年に役者としての活動を開始。様々な舞台を経験したのち、2011年に県内で活動する脚本家・山田享楽(山田行)と『stage creating unit “Be-STUDiO”』を立ち上げる。これまで2人での活動以外に、他団体や企画の舞台・映像・ラジオと様々なジャンルへの出演を精力的に行う。主な出演作は映像『琉球歴史ドラマ 尚巴志/攀安知 役』『TERAKA~始まりの型~/上地一神 役』『琉球トラウマナイト2021』、映画『小さな恋のうた/与儀克彦役』、CM『ファストピックのある生活~取調室編~』、舞台『永遠の一秒/原口千里 役』『ミュージカルショウ JOYFUL+Plus東京・沖縄公演』『TEAM SPOT JUNBLE 第9回本公演 鬼切鬼丸』他、多数出演。

山田行(ヤマダコウ)
1979年・沖縄生まれ。23歳の頃、高校演劇の脚本を書いたことにより、演劇に興味を持ち、舞台の世界へ足を踏み入れる。以後、主に脚本を中心に演劇界活動を行なっている。これまでに書いた脚本は100本を超える。山田行の他に『山田享楽』『紫風子』『ブース☆キッス』『剣山由行』など、複数のペンネームを作品の世界観によって使い分け、活動している。

映画「ミラクルシティコザ」

映画「ミラクルシティコザ」オフィシャルサイト
https://miraclecitykoza.com/
スターシアターズ
https://www.startheaters.jp/

上映期間:1月21日(金)~
上映劇場:シネマQ・シネマライカム・ミハマ7プレックス・サザンプレックス
上映時間:119分
監  督:平一紘
出  演:桐谷健太、大城優紀、津波竜斗、小池美津弘、津波信一、アカバナー青年会、神崎英敏、山城智二、渡久地雅斗、玉代勢圭司、山内和将、ベンビー、南里美希、喜舎場泉、城間やよい、山田行、岸本尚泰、平隆人、宮城夏鈴、ニッキー、渡辺光、小川深彩、他

(C)2021 Office Crescendo

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今回は冷たい和スイーツ「まるたまサンド」が売りの「Yebisu Taman(エビスタマン)」のご紹介。
「まるたまサンド」には北海道あずきを丁寧に炊き上げた「あんこクリーム」、糸満産の紅芋を用いた紅芋あんにホイップクリームを添えた「べにいもクリーム」、そして、あんこクリーム、紅芋クリームの両方が楽しめる「べにいもあんこクリーム」の3種類がある。

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今回ご紹介する「平田漬物店」は1950(昭和25)年創業、2024年で74年を迎える元祖琉球漬物店である。

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ウメノ製パン

『ウメノ製パン』は2020年2月12日に糸満市潮平にオープンし、2024(令和6)年現在4年目を迎える。沖縄やまやとのコラボ商品「めんたいフランス」など他のパン屋さんにはない独特の商品が揃う。