『我那覇孝淳の【喜怒哀☆楽日】第2回


僕は沖縄で介護のお仕事をしてるんだけど、時々、趣味でお芝居を上演したりするんですよ。
どうして舞台を創っているのかと言うとですね、沖縄には沢山の個性豊かな表現者がいて、その魅力を皆んなに知って欲しいからなんて微塵も思ってなくてね、楽しいからなんですよ。
単純に、お芝居を創るのが楽しい。
僕が楽しめるかが一番大事でして、楽しくない舞台は一切やりたくない。

楽しい舞台というのは何かと言いますと、演出の僕が『楽』ができる舞台のことでして、『楽』が出来る舞台というのは何かと言いますと、稽古場で役者が役の事についてイチイチ質問してこない事でして。

「この台詞はどんな感じで?」とか聞いてくると、知らねえよお!と思ってしまうんです。まあ、演出なので、一応は答えますけど。そんな時は、だいたい適当な事を言ってます。

すんません。本当にすんません!今まで僕の演出をうけた役者で、役柄の内面の演出をされた方がいたら、アレは全部、デマカセです!テキトーに言った事です!役者の感情なんてシラねぇよぉ!って思ってしまうんですぅ。それを創るのが役者の仕事でしょお!って思ってしまうのですぅ。

僕は役者の内面に興味がなくて、どう見えているかしか考えていません。
悲しい芝居の時は役者が本当に悲しいと思っているかはどうでもよくて、悲しく見えているのかどうか。
怒っている芝居の時は役者が本当に怒っているのかはどうでもよくて、怒って見えているのかどうか。

ただ一点、それだけ。

そういや、去る4月の2日3日に、久しぶりに舞台を上演したんですよ。山田享楽さん主催の【シンプルーム】という企画公演で、三人の作家による『一人芝居』をね、やったんです。

紫風子さん作・演出の『昏夢と淫蛾』、新井章仁さんの『壁に刺さった女』そして僕の『分水齢』の三本を上演したんです。

その『分水齢』に演撃戦隊ジャスプレッソの井上あすかさんに出て頂きました。何度か舞台上の彼女の演技を観てはいたけれど、がっつりダッグを組んでお芝居を作るのは今回が初めて。

井上あすかさんにオファーして大正解でした。
何故ならば、彼女と一緒に創った一人芝居【分水齢】は本当に『楽』だったから。

稽古場で、登場人物の役柄についてのディスカッションなんて一切なし。台詞を覚えて貰って初日から立ち稽古。僕は表面上の役者の動きの事しか言わないので大変だったと思いますが、あすかさんは本番では見事に役の勘所を見事に掴んでいました。

【分水齢】は正反対の2人の女性の20代から50代をグラデーションで描いた作品で、あすかさんは見事に演じ分けていました。

このコラムを読んでいる方で、何人が舞台【シンプルーム】を観に来てくれたのかは知らないけど観に来て下さった方に聴きますが、井上あすかさんの演技、素晴らしかったですよね?素晴らしかったですよね!ビッグロードさん!

ハイ、ありがとうございます。

あ、ビッグロードさんというのは僕のTwitterのフォロワーさんでして。よくお芝居を観に来てくれる方でして。こうゆう方々がいらっしゃるから僕らは、おっと!脱線!

とにかく、【分水齢】で見せた井上あすかさんの演技には僕の演出は全く入っていないんです。すべて彼女が創り上げたものです。じゃあ、演出のお前は何をしたんだ!って言う事なんですけどね。

あの。なにも、あの、なーんにもしてないんです。でもね!演出が何もしない舞台というものが究極の舞台演出なんですよお!

そんな井上あすかさんが所属している演撃戦隊ジャスプレッソなんですが、6月4、5日に舞台を上演するそうです。興味がある方、是非ご覧になって下さい。

井上あすかさんは、タイ語が話せます。
井上あすかさんは、空手が出来ます。
井上あすかさんは、習字も出来ます。

タイ料理も作れます。多分。多分ね。だって実家がタイ料理屋さんだから。

お店の名前は『シャム』。
南城市にお越しの際は是非、寄ってみて下さい。
僕は『シャム』の【チキンとカシューナッツ炒め】が大好きです。
以上、グルメレポートでした。

てな事で今月はこの辺で。
また、話を聞いてやって下さい。

■筆者information
【Twitter】@koujunkoujun
【note】我那覇孝淳

1日1本、約1200文字の短編小説のようなものを書いてます。 文章修行中。 稚拙ですが読んで頂くと嬉しいです。 Twitterもやってます。


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