ARTIST INTERVIEW

ナオキ屋

naokiya

ランドセルを背負った小学生や、夕飯の買い出しから戻る主婦を横目に、ロックスターのオーラを振りまきながらポーズをとる「ナオキ屋」。彼の武器は“強いハート”だと思っていた筆者は、このインタビューで意外な一面を知った。
そんな彼の繊細ハートが紡ぐ日常ロックの世界。そして、その叫びに隠された感謝と下心を、2時間たっぷりと語ってもらった。
ちなみに、あまり語られて(宣伝)いないので補足しておくと、今回のインタビューは2021年5月9日(日)に行われる『ナオキ屋バンド ライブ&配信@琉球新報ホール』のPRである。

新たな場所での大きな挑戦、そこにかける思いとは

●今回の琉球新報ホールはこれまでとイメージの違う舞台ですが、ここを選んだ理由はなんでしょう?
新聞を見て琉球新報ホールで行われる「アートルネッサンス」企画を知ったんです。それならトライしたいなと思いました。もちろん自分には大きい箱です!2019年には随分PRも頑張ってミュージックタウン音市場で行ったライブが173人動員でしたから。でもあの時は少なくても良いと思ったんです、目的がアレだったから、僕は集合写真が撮りたかったんです!舞台の上からお客さんを入れて、よくアーティストが記念にするアレ格好いいでしょ?
友達に「なんとか写ってるお客さんを増やしたい」と相談したら、お客さんを動かして2枚撮って、フォトショで加工したら2倍になるよと教えてくれました!もちろん、お客さんも納得の上でやったので、そこに居た皆さんが知ってます!前方に集まって1枚、次は全員後ろに下がって1枚、よく見たら同じ人が2人ずついるんです。だから173人ですけど(写真では)400人近く動員しています(笑)!

●では次も2回撮影するんですか?感染症対策で1席空けるなら、その空いた席に移ってもらうんでしょうか?
それ良いですね!あ!でもそれだと、僕が消す作業が大変ですね(笑)。こういうのってライブ直後に出さないとって思うので、前回も「今日帰ったらすぐやります!」と、めちゃくちゃ疲れてるんだけど夜の内にアップできるように頑張りました。そしたら皆さん凄く喜んでくれました!

●今回は配信もあるようですが、配信でご覧の皆さんとはどうやって記念撮影しますか?
配信の人は…どうしようかな、アイデアは未だ無いですね(笑)。今回、配信を取り入れたのは保険の意味合いもあって、例えば感染症対策で出かけられなくなった時、今よりもひどい状況になっていた時、そのために同じチケットで配信も見られますよってことにしています。もしもの時は無観客で配信のみに切り替える可能性もあります。でも音響照明、スタッフの皆さん、中止ではないから仕事はありますって言う気持ちなんです。スタッフの皆さんからも、それはありがたいって言ってもらえて。あと配信なら県外の方も見てくれるんで良いですよ!

●県外にも多くのファンがいらっしゃると聞いてます!皆さん、どのようにナオキ屋さんを知ったんでしょう?
2つあります。1つは僕が3年程前にヒッチハイクで福岡から北海道までを巡った時、ライブハウスへ来てくれたお客さんです。そしてもう1つは、ラジオ沖縄で放送中の「ROcK魂手箱」リスナーさんですね!沖縄のラジオは県外の方に人気があるらしいんです。僕が東京にライブに行った時も、半分以上がこのラジオリスナーさんでした。なぜ沖縄のラジオにハマっているのか聞くと、パーソナリティーとの近さだと教えてくれました。都心のラジオはパーソナリティーと話すこともないそうで、僕らを身近に感じてくれるリスナーさんの応援がとても好きですね

●ラジオも今は、アプリなどで全国から聞けて幅が広がっていますからね!
そうなんです!ビックリしたのが僕はROKでしかラジオをやった事がないのに、色んな番組のリスナーさんがライブに来てくれるんです。それまで僕のライブに来る人は、友達かミュージシャンばかりでした。ライブPRのウォーキングを一緒にしてくれる人も「桜ファンの会」はじめスポンサーになってくれる方も、ラジオからの方が多いです。ミュージシャンってよく言えばユイマールだけど、ライブハウスに来る人は同じ顔ぶれが多くて、彼らのレコ発だから、仲良しの人が出るからってミュージシャン同士で行き来しているイメージで、それを越えなかったです。僕は偶然、タマシイ(ロックバンド Shaolong To The Sky のボーカル/ギター)に声かけてもらってラジオをやってますが、リスナーさんの熱量は凄くて、本当にありがたいなって思っています。メッセージやSNSでも盛り上がってくれて、ライブにみんなで行こうと言ってくれます。始めた頃は「なんでこんなに長いラジオネーム全部読むの?」って、ピンとこない場面も多かったんですが、その大切さをタマシイは知っていたし、実際にリスナーさんと会ったり、イベントしたり、その中で「この人たちが沖縄のラジオを応援してるんだ」「ラジオを通して沖縄を応援しているんだ」と勉強になりました。そんなコミュニティやサポートを、大切にしていきたいし感謝しています!

今だからできること、今の姿を見てほしい理由

●そんな色んな人が見るであろうライブ、見どころや今までとの違いはどんな部分でしょうか?
前はスタンディングだったんですが、当時46歳の同世代が観に来るので、立ちっぱなしはキツイかなーと、強制的にモッシュしてもらう場面もあったので、みんな大変だろうなと思っていました(笑)。今回は元から椅子があって前にも動けないので、皆さんゆっくりと(笑)。ライブは僕のエゴですから、僕が呼び集めて演りたい曲をお金を払わせて聴いてもらい、演りたいことを永遠と見せている、だから来なくなる人もいます。今残っている人はきっとそれを面白いと思ってくれている人だから、とにかく一体感を大事にしています。
あとバンドは素晴らしいメンバーなので安心しきっています。本当に良い演奏だなって客観的に聞いて思うんです。昔は声が聞こえない、歌詞が分からないとバッシングもありましたが、バンドを従えて鍛えられました。今まで僕が集めたスタッフは、そんな部分を言う人が居なかったんです。前回のライブはバンドについていくのに必死でした。だってカラオケで歌ってたんだから、生演奏だとキーも取れなかったりするんです。歌詞が飛んだり、人と合わせるって面倒って思う事もありました。逆にグルーブが合った瞬間は、こんな素晴らしい気持ちは無い!って思い、5分の曲もノッてきたからもう少し伸ばそうって臨機応変に対応してくれるんです!みんな上手だから。1人でやっていた時の何倍にも表現力は広がりましたし、1人では気が付かなかった事がたくさんあります。だからこそ真ん中にいる僕と演奏することに、喜びを感じて貰わないと駄目だって頑張れるんです、少しでも楽しく思ってもらわなくちゃと、自分の存在価値を見直しましたね(笑)。

●プライベートにもまた変化があったようですね。
一時期は音楽をだけをやろうと仕事を辞めたんですが、逆に全然できなかったんです。辞める前は、仕事の時間に対して本当にムカついていたんです。通勤時間が無駄だとか、この時間を練習や曲作りに使えたらと思いました。いざ辞めるとなんだかんだ昼過ぎまで寝たり、生活リズムもおかしくなって「今日も出来なかった」の繰り返しでした。でも得られたものは多い、良い経験だったと思っています。自分で自分を律する事ができない(笑)、それを知ることが出来ました!今は仕事があって、それ以外の時間を音楽に費やする、そのありがたさに気がつけました。そして給料が貰えるありがたさにも。
すると仕事に対する心持ちが変わりました。何よりも僕、今の職場に出戻りなんです。実は父の友人が経営者で、父が亡くなった時にたまたま来てくれて「元気か?」と声をかけてくださり、「仕事がしたい」って言ったら来週から来いと言ってくれました。父に、そして職場に本当に助けてもらいました。いざ戻ると従業員の皆さんが変わらず僕を受け入れてくれて、先輩が喋っている内容が3年前と一緒だったり、昔ならイライラした場面も、新しい気持ちで楽しめるようになりました。同世代の友達は結婚して家を建て、子供が成人するとかの話の中、僕はホームセンターで3000円の時計が買えず惨めな気持ちでした。そんな時は発想もどんどん貧困化して、ライブも全然やる気が出なくなって、本当に今の場所に戻ってこれて良かったなぁと、周りへの感謝でいっぱいです。

たった1つの願いのために、何ができるか

●新型コロナウイルスで騒がれる今、この事もナオキ屋さんに何か変化をもたらしましたか?
もう一度、電光掲示板を背負って歩くようになりました!みんなマスクをするじゃないですか?顔が隠せるんですよ!だから電光掲示板ウォーキングはやりやすくなったんです!

●待ってください!それはそもそも恥ずかしかったということでしょうか?
始めた時には「こんな素晴らしい営業スタイルはない!看板は本来固定してあるけど僕が背負って歩けば、どこでもPRができる!」と思ったんです。1週間程で心が折れそうになって(笑)、建設現場のお兄ちゃんたちが遠目に見て笑ってたり、指さされているのかと思ったりして。しかも背負っている僕はニコニコしてもおかしいし、どうしようって思っていた時に思いついたのは「配信しながら歩くこと」だったんです。この姿を応援の意味で見ている人が1人でも2人でも、目の前にいると分かれば、自分の意識をそこに向けていけるので、少し恥ずかしさも解消されたんです。誰かが一緒に歩いてくれている感覚になり、配信は僕の心を守る方法だったんです。
だから今回はマスクで顔を隠して安心していたんですが、2日目から一緒に歩く人が出てきたんですよ!たぶん僕がいなくてもウォーキングしている方だと思うんですが、せっかくなら一緒に!と。面白い写真を撮ったり喋ったり、みんな楽しんでくれるようになったんです。「大人になったらこんな風にピースしたりなかなかやらないよ」って言ってくれるんです。

●皆さん、ナオキ屋さんと楽しむのが青春のようになっているんですね!
ピースしないって言うのを僕は信じられないって思ってたんです。だからもっと来いって、みんなでポーズしましょうよって言いました。僕が言うのは「今一瞬、嘘でもいいから楽しそうにしてほしい」と、そして写真に撮ってアップすると、その瞬間は紛れもなく楽しい時間に見えるんです。それを見て「ここに行きたい」って思ってもらえたら、きっと僕の勝ちだと思っています。
大人になると心にかかるハードルを越えて、僕と一緒ならバカな事もできる、大人になっても大人がやらないことをできる、キラキラした写真を撮って、みんなでジャンプして、死んだふりして(笑)、楽しめる可能性を知ってほしいんですよね。

●なるほどー!ナオキ屋さんはみんなを元気にする良い人なんですね!
いや(笑)、去年「マジでそろそろ本気出す!」って曲を出したけど、これ嘘だなって(笑)、みんなに頑張ろうとかいうのは嘘だって思っますよ。これ僕が目立ちたいだけでやってるのに何を言っているんだと。僕はただひたすら、モテたいだけなんです。大きいホールでやるのも、ただただモテたいだけ、CD出すのも写真撮るのも、モテたいだけです(笑)。俯瞰で見て僕って面白いなって思う時もありますが、本当にモテたくて始めて、頑張っているけど理想の人が来ないだけです。もちろんバンドメンバーにも言ってますよ!周囲にもいついつ飲もうとか、あれやろうって約束していても、彼女ができたらコレは無くなるよって宣言しています。

●では本当に、たった1人の女性を探す為だけに色々やっているんですか?
そりゃあ音楽好きですけど、僕って普通にしてたら普通のオジサンです。普通のオジサン誰も見に来ないじゃないですか?ずっと何の縁もないんです、チキンだし、もう50前ですから。

●私、思うんですけど、モテたいのであればあのカレンダーとかパフォーマンスは正解なんでしょうか…?ちょっと個性が強いかなとも感じますが…。
僕の中では全部正解ですけど、全然うまくいってないですね(笑)。僕の理想とする人は「コントロールできない人・わがままな人・わがままだけどバランスを知っている人」なんです。手の平で転がされるっていうか…、何が言いたいかっていうと、僕には可能性があると思っているんです。ただそれを動かすパワーが欲しいんです。例えば野村監督と沙知代さんの様な関係です。きっと凄くパワーを出させてくれる人だと思うんです、沙知代さんは。僕は引っ張ってもらいたいんじゃなくて、アンタが頑張りなさい!って押されたいんです。僕にとって女性は大切なパワーの源なんですよ。この活動の足を引っ張るんじゃなく、もっと頑張りなさいって喝を入れてくれる人を探しています。これまで出会った方もいますけど、この面白い生活を捨ててまで、この人だって思える女性にまだ巡り会えてないですね!

●折角なのでどんな女性が好みか、見た目のタイプを公表してみるとお声がかかるかも知れませんよ?
外見はふくよかな人が好き、渡辺直美さんとか見ていて幸せになるじゃないですか(笑)!憧れの存在として椎名林檎さんとか好きですよ。綺麗で格好良くて音楽も良くて、自分の武器をしっかり知っていてパーフェクトな方だと思っています。でも側にいるなら、ふくよかな人が好きですね。友達にこの話をすると「デブが好きなんだろ」って言われるんですけど、そうじゃなくて想像で「痩せたら綺麗な人が巨大化している」のが、何だかたまらなく良いんです。世の女性は痩せている人が多いです。インスタで外国人のビフォーアフターを見ては「ビフォーの方が良いよ!」って思うんです。ライザップも中間で辞めてほしい、腹筋バキバキの女性はひっくり返ったカブトムシなんです。男性は必要だと思いますけどね。後は色が白い人が好きですね!「寄生獣」って漫画に出てくるんですが、ギャルなんていっぱい化学物質がついてるけど、田舎から出てきた素朴な女の子は美味しそうって食べられちゃうんです。色々言いましたが(笑)、素朴な人が好きと言いたかったんです(笑)。そして強い女性が好きです、表面的なことばかり言っちゃいましたが(笑)。

●面白かったです(笑)。コレを読んだ理想の女性がライブに溢れるかも知れませんね!最後にまとめとメッセージをお願いします!
前回のライブでは、専用の曲を作って「物販を買いましょう」と催眠術をかけたんです。何かテレビとかで、本当に倒れた人を見た時にコレだと思って練習したんですけど、なかなか皆さんにはかからなかったようです。Tシャツが欲しくなる、CDが欲しくなると、催眠術やったつもりだったんです。そんな物販で僕は毎回「空気」を瓶詰めにして1000円で販売しています。ライブステージって特別な場所だと思っているんで、それを残したい気持ちで瓶詰めにしているんです。前回のライブでは、空気を大きい瓶につめて、みんなのサインを入れて1万円で売ったら、誰にも買ってもらえませんでした(笑)。でも僕はそれ、今となってはコロナ前のライブの空気だから、今後どんどん価値が上がると思っています。
何が言いたいかっていうと、熱狂の空気を売っているんですってシャレです!みんなが頑張って演奏してるのに、お前は空気売って何やってんだと本気で怒る人もいました。でもそれをみんなが分かって、笑ってくれる空気が大好きなんです!きっとお客さんもそれを楽しみにしているし、こんなダメな部分、怪しい部分を分かって笑いに来てくれている。そこに本気で熱さとか真面目さとか持ち込んでくる人とはトラブルになるけど、僕は思いっきりふざけているので、良かったら皆さんもそれに便乗しに来てほしいです!

50歳を前に様々な気持ちを語ってくれたナオキ屋さん。ぜひ次のライブは色白でふくよかな女性はじめ、まだライブを見たことのない多くの方に現地や電波を通じてでも、ナオキ屋さんが全力でふざける、アツく力強いパフォーマンス、実は格好良い姿を見て欲しい!

PROFILE
ナオキ屋・商標登録第5711794号 。血液型B型。西暦XX73年6月5日生(年齢非公表) 。
全曲作詞作曲、全楽器演奏、録音、打ち込み、アートワーク、自作落語、ステージ衣装製作、小道具製作、カレンダー製作(毎年)、マネージメントなどをすべて一人でこなし、音楽ジャンルは、ロックンロール、パンク、ファンク、R&B、ラップ、レゲエ、ジャズ、テクノ、演歌、ムード歌謡、AOR、エモ、アカペラ、8bit、J-POPなど多岐にわたり、ありとあらゆるジャンルの曲を作り出していく、沖縄県読谷村生まれ、読谷村育ち、読谷在住、浦添市ライブハウス「グルーヴ」出身のB級ミュージシャン界のトップを目指す、自称音楽雑食、自己愛中毒系ワールドBクラス・ミュージシャン。沖縄県内中心にライブ活動中。
公式サイト/http://naokiya.jp/
Twitter/@naokiya1973
Instagram/@naokiyaokinawa
YouTube/ナオキ屋Naokiya

LIVE INFOMATION

2021.5.9(土)​
ナオキ屋バンド

ライブ&配信
場/琉球新報ホール 3F(那覇市)
時/開場17:00 開演18:00
料/前売 2,000円 当日2,500円
  小学生以下無料
  身体障害者手帳をお持ちの方/前売・当日1,000円
  ※車椅子の方は同伴者1人無料
  ※チケット購入者には配信視聴URL送ります
チケット取扱い場所/高良レコード店、古着屋LEDGE、中古CD・レコード店’69、スポーツプラザAP、鶴亀堂ぜんざい、まいにち食堂
問合せ/島袋 090-9784-0585

RADIO INFOMATION

毎週月曜日 22:30〜23:00
ROKラジオ沖縄「ROcK魂手箱」放送中

シャオロントゥザスカイのボーカル・タマシイ&読谷のロックスター・ナオキ屋が、県内で活動するミュージシャンをゲストに招いて、ロックについてトークする音楽番組


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