いい加減に良い加減 第11回


擦り合わせ

前回まで2回に分けて、自らが実践している(しようとした)育児法を紹介して来ました。
その中には、ねんねトレーニングやBLW(離乳食の進め方)など、海外発のものも。

他にも、某有名な教育法など、主に欧米の方から来た教育や育児の仕方は、インターネットで調べると、山のように出てくるのではないかと思います。

でも、それら海外発のものは、その土地の風土・習慣があってこそ成り立つものも少なくないなと思う訳ですよ!

例えば、ねんねトレーニングで言えば、明かりを暗くして子供を寝かせる部屋だったり、ベビーベッドだったり。

正直、うちではそれを確保する部屋数はありませんでした。

こんな感じで、その土地の習慣や生活スタイルなどのベースがあるからこそ成り立つやり方なのかなと。

以前に勤めていた保育園の園長が、ハンガリーの保育を取り入れた園で保育士としての経験を積んできた方で、それをこの園でも取り入れたい!と、いろいろな情報を持ってきてくれた事がありました。

保育園に入園する際、慣れない保育園にいきなり長時間預けることはせず、1週間かけて(子どもによっては2週間かかる場合も)少しずつ園にいる時間を伸ばしていく「慣らし保育」があります。

ハンガリーでは、1ヶ月かけて「慣らし保育」を行うそうです。

子どもが保育園という場所が負担にならないように、「親はいつでもきちんと、あなたの所に帰ってくるよ」という安心感が持てるように、最初はトイレに行って戻ってくる、から初めて、徐々に距離を伸ばして、離れる時間を長くしていく。
なので、慣らし保育開始時は、親も一緒に登園し、1日保育園で過ごすそうです。

そういったベースがあるからこそ、ハンガリーで行われている保育の仕方が生きてくるのではないかと。

欧米と日本とでは、愛情表現の仕方も違うと思います。

シャイと言われる日本人。

どストレートに、我が子に対して常に、「I love you!」と言いながらハグ出来る人はどのくらい居るのでしょうか??
(昔に比べたら、それが出来る人はだいぶ増えているとは思いますが)

でも、その代わり、という訳では無いですが、日本では添い寝の文化や、添い乳の文化があります。
それこそ、「I love you」やハグに代わる愛情表現の一つじゃないかなと思います。

ねんねトレーニングをしようとした際にも感じたことですが、全てを同じように取り入れようとすると、どこかで無理があったり、生活スタイルに合わないところが出てくるな、と。

ジャンルは違いますが…

ブロードウェイミュージカルを日本の訳でやった時。

元々は英語の歌詞に合わせた音を日本語に訳しているので、語呂が詰め詰めになってしまったりと、どーしても無理が出る。
そうすると、歌詞がすんなりと頭に入ってこないんです、私は。

ブレスを取るところも、歌詞が変なとこで切れちゃったり。
本来は、そこも計算されて出来てる曲なんだろうなー、と思うと、英語が話せたら!勿体ない!!!と、つい思ってしまう。

でも、それでも、作品の素晴らしさとか面白さがきちんと伝わる、日本の翻訳力は凄いなと思います。

これも、「擦り合わせ」ではないかしら??
ん?無理くりすぎ??(笑)

さらに余談ですが…

日本の保育園で食事をする際、みんな揃って、「いただきます」で一斉に食事を始めるところも少なくないと思います。

ハンガリーでは、食べたい子から食べさせ、食べたくない子は遊んでいる。
25人園児が居たとして、食事をしているのは常に6人くらいで、子供たちがローテーションで食事している、というやり方をしているそうです。

これのメリットは、子どもの自主性を重んじることと、食事介助に付く保育士が少なくて済むこと。

特に乳児(0~2歳児)クラスだと、きちんと噛めてるか、誤飲しないかを見るため保育士が必ず補助に入ります。(私が今まで勤めていたところは、4月時点の1歳児クラスだと、乳児3人に対して保育士1人付いていました)

1歳児クラス全員が一斉に食べ始めると、25人園児がいた場合、 保育士が7〜8人は付かないといけない計算になります。

しかし、ハンガリー式でいくと、食事している子供は6人ほど。
保育士1人に対して、園児3人で常に食事が進んでいる状態になるので、食事介助に必要な保育士は2人。

遊んでいる子を保育する際は、食事ほど人数は必要ないので(居ればいるに越したことはないですが…)、食事中の保育士の数は一斉に食べ始めるよりも少なくて済みます。
さらに、子どもの自主性を重んじることも出来る。

これは実践してみて、子どものたちの食事介助も余裕を持って接することが出来ること、1人1人に目を配れることなど、保育士の負担が減り、とても良い進め方だと感じました!
(※小学校ではまた進め方が違ってくると思うので、あくまでも、保育園では、の話です)

インターネットという便利なツールで、国境を超えて情報が簡単に得られる様になった今だからこそ出来る、様々な教育や保育の方法。
この土地・風土に合うように、擦り合わせをすることで、うまく活用していきたいですね!

■筆者information
【Instagram】@chicaco0117


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