ある詩人の場合 第4回


詩人とよくある誤解


わたしは誤解されやすい。
詩人だから読書が好きだと思われやすい。
読書は好きだが、音楽やラジオの方がもっと好きだ。
あまりわたしのことを知らない人が、気を遣って本の話をする。最初は気付かないが、なんだかぎくしゃくする空気を感じ取る。ああ、気を遣ってくれているのか。
「わたし本当は音楽やラジオが好きなんだ」と伝えてみる。

読書好きの男性を紹介され、好きな本の話を聞いて、読まなければならない展開になったことが何度かある。
本当に読みたいジャンルとは違うので、図書館から借りてみたものの、一向にページが進まない。
そのうち、その人に会うのが億劫になってくる。何か理由をつけて断りたくなってくる。
音楽なら何を勧められても、聴くことは苦痛じゃないのに。

音楽が好きな人がいいと主張しよう。
それでその後何年か、どんな男性と付き合いたいか聞かれると、「一緒に野外フェスに行ける人」と答えるようにしていた。
ライブハウスには1人で行けるが、野外フェスは1人で行けない。ただ音楽が好きなだけでなく、野外フェスに行くぐらい行動的な人がいいという意味もある。
ちなみに「一緒に野外フェスに行ける人」を紹介されたことはない。

詩人は詩しか書けないと思われやすい。
詩を書ける人は、文章全般書けると思われるのかと思ったら全然違う。
わたしのホームページに「詩人・コラムニスト」と書いてあるのは、「詩も散文も書ける人ですよ」と言いたいからだ。
今でこそコピーライターの端くれであるが、仕事として文章を書くのも、遠い道のりだった。
新聞社や雑誌社やWEBライターの求人に応募しても、なかなかうまくいかなかった。
雑誌社の実技試験で記事のサンプルを書いた時に、面接官に「書けるんですね」と驚かれた。
そりゃ、書けるさ。書けないと思っていたのか、とこちらもびっくりしてしまった。
現在、わたしの個人名刺やWeb記事に載せるプロフィールの肩書きは「詩人・コピーライター」にしている。
「文学も商業的なライティングもできますよ」と言いたいからだ。

恋愛や結婚に興味がない人とも思われやすい。
本当は割と近くにいる人を簡単に好きになる質だし、本当は27歳あたりで結婚したかった。
詩や朗読に一生懸命で、恋愛や結婚に興味がなさそうに見えるらしい。
読み聞かせがうまいお母さんになりそうだな、というイメージにはならないのか。
詩人に限らず、何かしら表だって活動していると、誤解されやすいようだ。
だから婚活をしているのだと主張する。定期的にSNSに婚活という言葉を登場させることを心がける。
しかしいつまでこんなことをするのだろう。早く卒業したい。
今、婚活をしているみなさん、ともにがんばりましょうね。

■筆者information
【著者サイト】https://mumirock1.wixsite.com/hiroko-toma
【Twitter】@hirokotoma
【Instagram】@hirokotoma


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