ある詩人の場合 第8回


詩人と柔らかい心

無事、11月8日、「書と詩(ことば)展」vol.3が開幕した。
会社に届けを出して仕事を抜けて、開幕の11:30に恒例のテープカットをした。
沖縄タイムスの記者さんが取材に来て下さった。
他にも何人かお客さんが来てくれた。

その夜、私は気付いた。
「ああ、わたしすごくピリピリしていたのだな」

前の週の11月5日は「書と詩展」の告知でRBCiラジオのラジオカーコーナーに出演させてもらった。
9月から調整の依頼をしていたが、なかなか出演日が決まらず、決まったのは出演の2日前。
急遽会社に届けを出して、ラジオカーに出演した。

翌日11月6日は、ずっと手を付けられないでいた掲示用の挨拶文とプロフィール作成に手こずり、開幕前日もいろいろあって、18:00からの搬入だった。
vol.1と同じ会場のrat&sheepで、vol.1は7点ぐらいしか展示しておらず、さっさと搬入が終わったが、今回は21点。2時間近くかかったような気がする。

展示会開幕の1週間前の11月1日は、恩納小学校で5年生と6年生に詩の授業をしてきた。
資料は2週間近く前に届いていたが、本格的に準備を始めたのは前日だった。
5・6年生合同授業かと思いきや、別々で内容も半分共通で半分違う。
何とか当日早朝に仕上げて小学校へ。
活発に発言する子どもたちの多さ!
発言しない子どもたちも、心の中では何かしら思うことがあるはず。
発言しなかったある子が、最後にわざわざ「今日はどうもありがとうございました」と言いに来ていた。
何か響くものがあったのだろう。

11月3日。那覇市文化芸術劇場なはーとが一般無料公開される日だったので行ってきた。
なはーとを紹介する映像を大劇場で観た。
映像に登場した城間幹子那覇市長の言葉が素晴らしかった。
「硬くなった心を自分で耕せない時は他の力を借りましょう。芸術文化が心を耕してくれます」というような話をされていた。
詩人の茨木のり子は「自分の感受性くらい」という詩が、「自分の感受性ぐらい自分で守れ、ばかものよ」と締めくくられることを思い出す。

その翌日は、仕事でこども園に立ち寄る機会があった。
懸命にいきいきと歌う子どもたちの姿に思わず足を止めた。
ふと、子どもと関わる仕事をしているみなさんは、心が柔らかいのだろうなと思った。
私は広告の仕事をしていて、おもしろいことを常に考えようと思っているが、いつも慌ただしく、ゆっくり丁寧に仕事ができるわけでもなく、何かと心をすり減らしやすい。
同じ広告の仕事をしている人でも、子どもがいる人はその分心が柔らかく、仕事にも良い作用があるのではないだろうか。

ピリピリしている中でも、心の柔らかさや、子どもと関わることについて思いを巡らせていた1週間だったのだと振り返る。

そして開幕した「書と詩展」vol.3。
母の書に「心洗われる」という声が聞こえてくる。ありがとうございます。まだの方はぜひ。

當間詠舟×トーマ・ヒロコ親子展
書と詩(ことば)展 vol.3

《母・書家》當間詠舟が、《娘・詩人》トーマ・ヒロコの詩を書で表現します。
会期:2021年11月8日(月)
   〜11月27日(土)
会場:rat&sheep (浦添市港川2-13-9)
料金:入場無料
ランチ :月〜土・11:30〜16:00
ディナー:木・18:00〜22:00
     金、土・18:00〜24:00
休み :日曜
店舗問:098-963-6488
※営業時間は状況によって変更する場合があります

■筆者information
【著者サイト】https://mumirock1.wixsite.com/hiroko-toma
【Twitter】@hirokotoma
【Instagram】@hirokotoma


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